2025年12月18日(木)
【AHEAD MINAMI】 夢咲 優真 存在意義を探して──養護施設出身ホストが選んだ場所

誰よりも優しくなれたのは、痛みを知っているから。
養護施設で育った優真さんは、自分の存在意義を探し続けてきた。
どこにいても見つけられなかった答えは、意外にもホストという舞台にあった──。
養護施設で育った優真さんは、自分の存在意義を探し続けてきた。
どこにいても見つけられなかった答えは、意外にもホストという舞台にあった──。

ー出身はどちらですか?
育ちは大阪です。大阪の児童養護施設です。
育ちは大阪です。大阪の児童養護施設です。
実は僕、5歳から養護施設で育っていて、23歳まで施設暮らしでした。
親の事情で家族と離れて暮らすことになったので、“家族”という感覚があまりなくて。今も実の家族とは縁を切っています。
そういう背景もあって、「自分ってなんでここにおるんやろ」「自分がいてもいなくても変わらんのちゃうか」とか、存在意義みたいなことはほぼ毎日考えて生活してきました。
ーこれまでの生活の中で"存在意義"を見つけることはできましたか?
なかなかできませんでした。
ーこれまでの生活の中で"存在意義"を見つけることはできましたか?
なかなかできませんでした。
高校を卒業してから2年間、イタリアンの専門学校で料理を学び、料理の世界に入りました。
「人のためにご飯作れたら何か変わるかな」と思ったんですけど、現場の圧や人間関係もあって、体も心も持たなくなってしまって。その後アパレル業界に転職して頑張ったんですが、社員の話もなかなか進まなくて、「俺ここにいてもダメなんやな」と感じてしまいました。
「人のためにご飯作れたら何か変わるかな」と思ったんですけど、現場の圧や人間関係もあって、体も心も持たなくなってしまって。その後アパレル業界に転職して頑張ったんですが、社員の話もなかなか進まなくて、「俺ここにいてもダメなんやな」と感じてしまいました。

─そこから、どういう経緯でホストという選択肢が出てきたんでしょう?
アパレルで働いていたときに、梅田で声を掛けてくれたのが、今もお世話になっているスカウトさんです。
その頃、ちょうど施設を抜け出して、友達の家を転々としたり、ホテル暮らしをしたりしていました。
当然、お金は無限じゃないので「そろそろちゃんと稼げる仕事しないとな」と思っていたタイミングでした。
当然、お金は無限じゃないので「そろそろちゃんと稼げる仕事しないとな」と思っていたタイミングでした。
最初は正直、「所詮ホストやしな」という偏見がありましたがとりあえず体入だけ行ってみようかな、と。
─ホストをしてみて、印象は変わりましたか?
最初は副業くらいのつもりで入ったんですけど、周りの先輩たちが真剣に数字や、女の子、お店のことを本気で考えているのを見て、「自分だけ中途半端な気持ちでいるのは失礼やな」と。そこから“ちゃんとホストをやる”って自分の中でスイッチが入りました。
入店からまだ5ヶ月ですが、その間にいろんなお客様と出会って、「ホストって甘くないな」「みんな真面目に全力でやってるんやな」と実感しました。
入店からまだ5ヶ月ですが、その間にいろんなお客様と出会って、「ホストって甘くないな」「みんな真面目に全力でやってるんやな」と実感しました。

─ホストを始めてから、「存在意義」についての感じ方は変わりましたか?
変わりましたね。
料理人のときもアパレルのときも、「自分がここにいる意味」が分からなくなってしまったんですけど、ホストは全然違って。指名してくれる女の子たちがみんな、「俺じゃないと嫌」「あなただから来てる」と言ってくれるんです。
社会的に見たら、ホストって決してイメージのいい職業じゃないかもしれない。でも、そんな仕事の中で「あなたがいい」と選んでもらえている。
それはホストとしても、一人の人間としても、必要とされている感覚に直結していて、「こういう在り方もあるんやな」と思えるようになりました。僕の探し求めていた"存在意義"を少し見つけられたと思います。

─子どもの頃の環境(養護施設で育った経験)は、今の接客に活きていると思いますか?
めちゃくちゃ活きてると思います。
例えば、殴られたことがある人は「どれだけ痛いか」を知っているからこそ、人にそれをしないと思うんです。僕は殴られたこともありますし、嫌な思いもたくさんしてきたので、心の痛みがリアルに分かる。だから、人に対して同じことは絶対にしないようにしています。
逆に、自分が「こうしてもらえたら嬉しかったのにな」と思うことも多かったので、女の子と話しているときも、「今この子はこうしてほしいのかな」「こういう言葉が欲しいのかな」と考えながら話すようにしています。
それが外れることもあるし、「自己中やな」と言われることもあるんですけど、大前提としては、
「自分がされて嫌なことはしない」「自分がしてほしかったことを人にしてあげる」
ここはずっと意識しているところです。

─施設出身であることを、TikTokでも発信されているそうですね。
はい。「養護施設出身ホスト」というテーマでライブ配信中心でTikTokをやっています。
配信でも「施設出身なのに頑張っててすごい」と言ってもらえることがあって、それが自分の中で頑張る原動力にもなっています。
“過去がマイナス”というより、「過去があるから今の自分の色になっている」と思えるようになりました。
今回インタビューを受けているのも、同じグループの先輩から「お前はそれを色として使えるんだから、ちゃんと言葉にした方がいい」と言ってもらえたのがきっかけです。今まさに施設で暮らしている子たちとか、「自分の境遇にコンプレックスがあって、一歩踏み出せない人たち」の力になれたらいいなと思っています。
ホストになれってわけじゃなくて、「何かを頑張りたいけど勇気が出ない」というときに、「あ、こういう環境からでも頑張ってるやつおるんや」と思ってもらえる存在になれたら嬉しいですね。
だから、このインタビューも「そういう誰かの背中を押せたら」という気持ちで受けています。

─ホストとしての今後の目標は?
最終目標は、この舗の一番上を倒すことです。
直近で言うと、来年の自分のバースデーでタワーを立てること。金額にはこだわらず、まずは「タワーを立てた」という事実をちゃんと掴みたいです。
この前、先輩が随分と大きなタワーをやったみたいなんですけど、その時体調を崩していたので直接見れませんでした。「見たかったな」で終わらせるんじゃなくて、「じゃあ次は俺が建てればいいやん」と思うようにしています!
─頑張る一番の理由は、何だと思いますか?
目標はもちろんありますけど、いちばんの理由は「自分の横で支えてくれている姫たち」の存在です。
女の子たちが仕事を頑張って、お金を作って、それを持ってきてくれているのに、自分が何もせずに待っているだけって違うなと思っていて、自分は限界突破してでも応えないといけないんです。
「支えてくれている子がいるから、自分もここまで頑張れる」
それが、一番の原動力です。
──最後に、お店やグループとしての今後のビジョンを教えてください。
規模の拡大です!!「RISE Group」と聞いたときに、「あ、あそこの店ね」とイメージしてもらえるような知名度を獲りたいです。
大手に行くんじゃなくて、「置かれた場所で咲く」「ここを大手にする」くらいの気持ちで、ここから店もグループも大きくしていきたいと思っています。

始まったばかりの道の上で、優真さんは自分の形を見つけつつあります。
その歩みがこれからどこへ向かうのか。目が離せません。
【AHEAD MINAMI 店舗情報】
所在地:大阪市中央区東心斎橋2丁目1-10 マックスタワービルB1
営業時間:店舗にお問い合わせください
問い合わせ:Instagram / TikTok
夢咲 優真:Instagram / TikTok









